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看護に必要なホスピタリティ|信頼を築くコミュニケーションスキルとは

看護師という職業は、日々の多忙な業務をこなしながら患者への理解を深め、患者さんとの信頼関係を作る大切な役割を担っています。また、医療チーム内でのコミュニケーションは、看護の質を大きく左右する要素です。

本記事では、看護師に必要なコミュニケーションスキルや、看護の現場で生きるホスピタリティについて解説します。

なぜ看護師にコミュニケーションスキルが重要なのか

看護の現場でコミュニケーションが重要視される理由は、大きく分けて「患者との信頼関係構築」と「医療チームとの連携強化」の2点が挙げられます。
看護師のコミュニケーションスキルは、単なる情報伝達の手段ではなく、患者さんのQOL向上や医療の質向上に大きく関わることを理解しておきましょう。

患者との信頼関係構築

看護師のコミュニケーションは、患者に安心感を与えながら信頼関係を築くために重要です。信頼関係が構築されると、患者さんを尊重したコミュニケーションが取りやすくなり、患者さんも症状の変化や心境を正直に伝えやすくなります。

患者さんとの信頼関係が築けている場合、小さな変化も見逃さずに適切なケアの提供やセルフケア指導を行えるようになります。逆にコミュニケーション不足は、患者さんの異常に気付きづらく、不利益につながる恐れがあるため注意しましょう。

医療チームとの連携強化

コミュニケーションスキルは、医療チームとの連携を強化する場面で不可欠なスキルです。同僚や医師、多職種との連携をスムーズにすることで、患者さんへの質の高い医療を提供できるようになります。

多忙な業務の中で迅速かつ正確な情報共有をできることは、正確で素早く情報を伝達し、医療事故のリスクを下げるのにも効果的です。また、円滑なコミュニケーションは、仕事のストレス軽減やチームワーク強化にもつながります。チーム間での情報共有を円滑に進めるには、要点を簡潔に伝えることを意識しましょう。

信頼を深めるコミュニケーションのポイント

患者さんとの信頼関係を深めるためには、相手の話をよく聞き、非言語的なコミュニケーションにも気を配ることが大切です。ここでは、患者さんとの信頼関係を深めるために重要なコミュニケーションのコツについて解説します。

会話の基本は「傾聴」と「共感」

患者さんとのコミュニケーションにおいて最も大切なスキルの一つが傾聴です。傾聴とは、相手の話に関心を持ち、共感的な姿勢で注意深く「聞く」ことを指します。

会話をする際には、相手の話を遮らずに最後まで聞き、相手の話や感情を否定しないこと、また自分の考えを押し付けない意識を持つことが重要です。これにより、「自分の話が大切にされている」という感覚を患者さんに持ってもらいやすくなります。

また、単に話を聞くだけでなく、相手の気持ちや状況に対して、自分がその場にいるような感覚で理解しようと努めることが「共感」も重要です。感情に寄り添う姿勢を見せることは、患者に「この人は自分の話に興味を持ってくれている」と感じさせ、治療やケアを受け入れてもらいやすくなります。

客観的な視点と感情のコントロール

医療チームでのコミュニケーションでは、客観的な視点から意見することは重要です。感情や個人的な価値観に左右されず、公正な立場から情報や意見を伝えたり受け取ったりすることを意識しましょう。患者の訴えや状態を客観的に捉えながらアセスメントすることで、チーム内での建設的な対話が可能になります。

看護師は、人を相手にする仕事であるため、焦りや怒りといった負の感情に揺れ動いてしまうこともあります。しかし、そうした感情をなるべく表に出さないようにコントロールすることも大切です。自分の感情に対しても、客観的に捉え、感情が高ぶる場面こそ冷静にコミュニケーションを取るように意識しましょう。

安心感を与える非言語的コミュニケーション

コミュニケーションは言葉だけでなく、態度や表情からも相手の感情や考えを読み取ることができます。表情、視線、声のトーン、姿勢など、言葉以外の表現を通じて意思や感情を伝える非言語的コミュニケーションは、時には言葉以上に相手の心を動かすこともあります。

患者さんに安心感を与えるためには、穏やかな笑顔で接し、視線の高さを合わせて会話する、頷きや相槌を適度に挟むといった非言語コミュニケーションの工夫が大切です。ただし、最初から距離感が近すぎたり、オーバーなリアクションをしたりすると、逆に不信感を持たせる可能性もあります。相手の反応を見ながら、程よい距離感を保つことが重要です。

チーム連携を強化するコミュニケーションのポイント

多忙な看護業務の中でより良い看護を提供するためには、効率的にコミュニケーションを取り、迅速かつ正確な情報共有が不可欠です。ここでは、チーム連携に重要なコミュニケーションのポイントを解説します。

効率的な情報伝達

要件を簡潔で分かりやすく相手に伝える手法として、PREP法が有効です。PREP法は以下の順番で情報を伝える方法のことです。

  1. 結論(Point)
  2. 理由(Reason)
  3. 具体例(Example)
  4. 結論(Point)

上記の順番で情報を伝達することで、スムーズに必要な情報を伝えられます。
また、チーム間での情報共有では、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識して報告・連絡・相談(報連相)を行うことが非常に重要です。5W1Hを整理して伝えることで、情報の伝達漏れや認識のズレを防ぐことができ、コミュニケーションが苦手な方も説明しやすくなります。

感情に寄り添うNURSE(ナース)

NURSEは、がん患者やターミナルケアの現場で注目される、患者や家族の意思や感情を理解するための専門的なコミュニケーション手法です。
NURSEを意識したコミュニケーションをとることで、心の奥にある感情や思考をうまく引き出せます。

  1. N: Naming(感情の言語化):患者が抱える感情を具体的な形容詞で命名する。
  2. U: Understand(理解する):その感情に対して理解できることを示す。
  3. R: Respect(相手に敬意を示す):患者の姿勢や人格に敬意を示す。
  4. S: Support(支持する):患者を支援したいという意思を伝える。
  5. E: Explore(掘り下げる):感情に焦点を当て、質問しながらさらに情報を収集していく。

看護の質を高めるホスピタリティ

患者さんの心に寄り添う看護には、ホスピタリティの概念が重要です。ホスピタリティの概念は、日本では一般的に「顧客に対する態度」と捉えられていますが、病院での患者さんへの対応においても重要です。

病院に組織理念としてホスピタリティが導入された際、看護師がその理念を実践に生かすまでには、大きく3つの段階を経ることが研究で示されています。

  1. 個々の看護師がホスピタリティの組織理念を認識した段階(1段階)
    導入当初はホスピタリティの意味を理解しておらず、理念に無関心な状態から、看護部の普及努力により、ホスピタリティの意味を知る段階です。
  2. その組織にとってのホスピタリティを理解した看護師による実践(2段階)
    ホスピタリティを概ね理解し、患者の嗜好や生活習慣を取り入れたケアの実践など、患者中心のケアを実践する段階です。この段階で、これまでの接遇が不適切であったことに気付かされます。
  3. 組織理念であるホスピタリティの理解が深まり、患者との相互作用により看護師が変化を認識した段階(3段階)
    ホスピタリティの実践が行動レベルとして定着し、相手を心からもてなす気持ちのこもった対応への移行が見られます。患者や家族から良い評価を受けることで、看護師自身に達成感をもたらし、ホスピタリティの実践が自己や他者の評価の視点となるまで定着します。

看護にホスピタリティを導入するためには、ノウハウを身につけるだけでなく、職場の業務改善も重要です。あまりに忙しい職場環境では、ゆっくりと会話をすることすら難しくなります。まずは環境を整えて、そのうえでホスピタリティ教育を進めていきましょう。

看護でのコミュニケーションではホスピタリティが重要

看護師にとってコミュニケーションは、患者さんとの信頼関係構築、医療の質向上に不可欠なスキルです。傾聴や共感といった基本的な姿勢、そしてPREP法やNURSEなどの具体的な技法を意識的に取り入れ、トレーニングによって伸ばすことを意識してみましょう。

とくに重要なのは、ホスピタリティの概念です。単なる医療サービスとして提供するのではなく、相手に寄り添おうとする心構えを持ち、丁寧なケアを心がけましょう。
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