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アサーショントレーニングとは|導入するメリットや具体例をご紹介

アサーショントレーニングとは、自分も相手も尊重し、本音を伝えるためのコミュニケーションスキルを身につける実践的な訓練です。

社会構造の変化や働き方の多様化に伴い「意見が異なることを前提とした人間関係の構築」が、これまで以上に求められています。そこでコミュニケーションを円滑にし、仕事のパフォーマンスを上げる技法として、アサーショントレーニングが注目されているのです。

本記事では、アサーショントレーニングによって得られる、人間関係やコミュニケーションを円滑にする具体的な方法をご紹介します。

監修者:岩城成弘(いわしろ あきひろ)

スターバックスコーヒーやウォルト・ディズニー・ジャパンでの豊富な実務経験を活かし、日本全国の企業や教育機関などで、ホスピタリティ研修を開催している。特に、ディズニー流の「おもてなし」を基軸にした、企業のブランド価値を高める研修が人気。実践的かつ成果につながる指導が、多くの企業から高い評価を受けている。

アサーショントレーニングが今必要とされる理由

アサーション(Assertion)とは、自分も相手も大切にしながら、気持ちや意見を誠実かつ率直に伝える「自他尊重のコミュニケーション」のことです。一方的な主張や自分の主張を我慢をするのではなく、お互いの価値観を尊重した上で、対等な立場で意思疎通を図る手法として広く活用されてきました。

現代社会でアサーションが必要とされる背景には、主に以下の3点があります。

  1. 価値観の多様化: 異なる背景を持つ人々が協働する中で、相互理解のための対話が不可欠になっています。
  2. リモートワークの普及: 非対面でのやり取りが増え、誤解を防ぐための「明確な言語化」の重要性が高まりました。
  3. 組織のリスク管理: 心理的安全性を高め、生産性を向上させるだけでなく、パワハラ防止やメンタルヘルス対策としても極めて有効です。

複雑なコミュニケーションが求められる現代だからこそ、相手を尊重しつつ、自分の意見を述べるスキルの重要性が高まっています。

アサーショントレーニングで使用される自己表現の3タイプ

アサーショントレーニングでは、自己表現の方法を3つのタイプに分類しています。

円滑な人間関係を築くには、理想的な「アサーティブ」を目指すだけでなく、自分や相手の傾向を正しく理解することが重要です。

自己表現の3タイプは、以下のとおりです。

タイプ心理背景特徴リスク
アグレッシブ私はOK、あなたはダメ命令、攻撃的、勝ち負け重視信頼喪失、孤立
ノン・アサーティブ私はダメ、あなたはOK言い訳、沈黙、自分を後回しストレス蓄積、不調
アサーティブ私もOK、あなたもOK誠実、対等、Win-Winを目指す良好で深い信頼関係

アグレッシブ|自分の意見を一方的に主張する

自分の意見を明確に主張しますが、他者を尊重せず一方的に押し付けるタイプです。「自分さえ良ければいい」という心理が働きやすく、強い口調や命令的態度が目立ちます。短期的には思い通りになりますが、長期的には周囲の反感を買い、信頼を失うリスクがあります。

ノン・アサーティブ|自分の主張を抑える

自分よりも相手を優先し、自分の気持ちを押し殺してしまうタイプです。波風を立てないよう曖昧な言い方をしたり、沈黙を選んだりします。周囲からは「良い人」に見えますが、内面には不満が溜まりやすく、突然の爆発や心身の不調を招く恐れがあります。

アサーティブ|自分も相手も尊重する

自分も相手も大切にする、理想的なタイプです。自分の主張を伝えつつ、相手の意見にも耳を傾けるバランスが取れています。誠実かつ率直なやり取りにより、双方が納得できる解決策を見つけられるため、持続的な信頼関係を築くことができます。

アサーショントレーニングで得られる3つの効果

アサーショントレーニングは、自分と相手を同時に尊重する「誠実な自己表現」を学び、円滑なコミュニケーションを目指すトレーニングです。アサーショントレーニングを実施することで、個人のメンタルヘルス改善や組織での生産性向上にも繋がります。

個人のメンタルヘルスと自己成長

アサーティブなコミュニケーションが実現できると、個人のストレス軽減につながり、メンタルヘルス上でも良い効果が期待できます。会話の中でも、我慢や衝突を避け、適切に思いを伝えることで心にゆとりを持てるようになるでしょう。

また、自分の意見をうまく伝えられるようになると、自己効力感も向上し、自信を持てるようになります。その自信が新たな成長につながり、自己成長の好循環を産むきっかけにもなります。

対人関係の質的向上

アサーショントレーニングは、自他を尊重する対等な対話術です。適切なコミュニケーションが取れるようになり、相互理解が深まります。お互いの信頼関係が生まれることで、感情的にならず誠実に本音を伝えあい、誤解や衝突が減っていくでしょう。

また、職場での心理的安全性が向上します。相手を不快にさせずにNOと言える雰囲気が生まれ、職場内に風通しの良い関係性を生まれます。 結果、会社の離職率低下や人材育成にも良い効果が期待できるでしょう。

職場や組織へのポジティブな影響

アサーションは、組織の「心理的安全性」を高めることにもつながります。 率直な意見交換が可能になり、情報の滞りが消え、迅速な意思決定やミスの防止につながります。

また、不満を抱え込まず建設的に相談できる風土が、メンバーのメンタルヘルスを保ちます。 さらに、多様な視点を尊重し合う文化が生まれることで、革新的なアイデアを出しやすくなり、組織全体のレジリエンス(困難な課題を柔軟に解決する力)を強化していけるでしょう。

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アサーショントレーニングの具体的な方法

アサーティブなコミュニケーションを実現するには、体系的なトレーニングを受ける必要があります。ここでは、一般的にアサーショントレーニングで取り入れられる方法を4つご紹介します。

アサーション権の理解

アサーショントレーニングでは、実践的なスキルを学ぶ前にマインドセットを行います。私たちには、等しく自分の意見を主張する権利があります。しかし、実際に社会に出ると、つい自分の意見を押し殺してしまうことも多くなってしまうのではないでしょうか。

そのため、まずは「自分には自分の考えを表明する権利がある」という事実を再認識するところから始めなければいけません。「断ってもいい」「間違えてもいい」「わからないと言ってもいい」こういった意見は、単なるわがままではなく、一人の人間としての基本的人権です。自分にこの権利を許可できて、初めて相手の権利も同様に尊重できるようになります。

まずはアサーション権を理解し、マイドセットができた段階からトレーニングが始まります。

ABCDE理論(認知の修正)

ABCD理論とは、自分の認知(捉え方)を整理し、偏った考えを修正する手法です。

具体的には、以下の5ステップで構成されます。

  • A(Activating Event/出来事):客観的な事実(例:初対面の人に会う)
  • B(Belief/信念):自分なりの受け取り方(例:完璧に振る舞わねばならない)
  • C(Consequence/結果):生じた感情や行動(例:不安でうまく話せない)
  • D(Dispute/反論):思い込みへの問いかけ(例:ありのままの自分で良いはずだ)
  • E(Effect/効果):変化した後の状態(例:リラックスして挨拶ができる)

この理論を再認識し、柔軟な考え方に書き換えることで、過度な緊張やストレスを和らげ、円滑なコミュニケーションへと繋げられます。

アイメッセージ

アイメッセージとは、常に「私(I)」を主語にして伝える方法です。コミュニケーションの中で、つい「あなたは〇〇だ」と相手を主語にした会話をしてしまいがちです。しかし、こうした発言は、相手を責めている印象を与えてしまうこともあります。

しかし、相手に対して何か意見を表明したい場合に「私は〇〇と感じる」と表現することで、相手を否定せず自分の主張を率直に伝えられます。時と場合によりますが、アイメッセージで伝えることを意識すると、相手の意見を否定することなく自分の主張を伝えられるケースも多いでしょう。

4. DESC法(デスク法)

DESC法とは、自分の意見を4つのステップに整理し、相手を尊重しながら誠実に伝える方法です。4ステップの具体的な内容については、以下のとおりです。

  • D(Describe/描写):客観的な事実のみを伝える
  • E(Express/表現):自分の主観的な気持ちを伝える
  • S(Suggest/提案):具体的な解決策や代替案を提示する
  • C(Choose/選択):相手の反応に対する選択肢を示す

上記の流れで意見を伝えることで、相手を尊重しつつ、自分の意見を伝えやすくなります。以下の具体例をご参照ください。

【具体例:残業の相談】
「今週は連日残業が続いており(D)、正直体力的にきついです(E)。今日は定時で帰らせてもらえませんか?(S)もし難しければ、明日の午前中に対応します(C)。」

ただ単に「今日は体がキツいので帰ります」と伝えるだけだと、自分の主張をうまく伝えられません。上記の4ステップにしたがって伝えたことで、感情的ではなく論理的な情報を伝えられるようになるため、アサーティブなコミュニケーションを取れるようになるでしょう。

相手へ伝える方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もおすすめです。

雑談力を上げて人間関係を円滑にするトレーニング5選

アサーションで「自分も他人も大切にできる」関係へ

アサーショントレーニングでは、相手を尊重しつつ、自分の意見を上手く伝える方法を学べます。社内の職員が、相手と自分を尊重できるコミュニケーション技術を身につけられると、コミュニケーション不足によるトラブルを避けられるだけでなく、仕事の効率性も向上します。

とはいえ、最初から完璧にアサーティブコミュニケーションを実現するのは難しいでしょう。大切なのは、日々の小さなやり取りの中で「今の自分はアサーティブだったか?」と振り返る習慣を持つことです。誠実で対等なコミュニケーションスキルを身につけ、変化の激しい現代でも活躍できる人材を目指しましょう。

MCSCでは、職場や学校などの組織で活かせるコミュニケーションスキルの研修も実施しています。某テーマパークで長年働き、ホスピタリティについて深く学んだ講師が、コミュニケーションセミナーを開催します。アサーティブトレーニングのセミナーについて相談したい方は、以下のページからお問い合わせください。

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