「エンゲージメントって最近よく聞くけど、一体どういう意味?」
「会社で重要だと言われるけど、理由がよく分からない…」
そんな疑問をお持ちではありませんか?
エンゲージメントは、従業員のやる気や会社への愛着に繋がるため、組織成長には不可欠な要素です。エンゲージメントが低下していると、離職や生産性が低下するリスクを高めることに繋がります。
この記事では、エンゲージメントの概要から高める秘訣、成功例まで解説します。ぜひ、最後までご覧ください。

監修者:岩城成弘(いわしろ あきひろ)
スターバックスコーヒーやウォルト・ディズニー・ジャパンでの豊富な実務経験を活かし、日本全国の企業や教育機関などで、ホスピタリティ研修を開催している。特に、ディズニー流の「おもてなし」を基軸にした、企業のブランド価値を高める研修が人気。実践的かつ成果につながる指導が、多くの企業から高い評価を受けている。
従業員エンゲージメントとは
「エンゲージメント」という言葉をビジネスで使う場合、一般的には対象への深い愛着や信頼、積極的な関わりを指します。例えば、顧客との良好な関係を「顧客エンゲージメント」と呼ぶことがあります。
この記事で扱う「従業員エンゲージメント」とは、会社と社員の強い絆のことです。 単なるやる気や満足とは異なり、社員が会社の理念に共感し、仕事に誇りを持って自分事として積極的に貢献しようとする状態、つまり会社と社員が「共に成長しよう!」と強く結びついている状態を指します。
エンゲージメントは、「モチベーション」や「従業員満足度」といった言葉と混同されがちですが、それぞれ意味合いが異なります。各概念ごとの違いは、以下のとおりです。
概念 | 主な意味 | 特徴 |
従業員エンゲージメント | 組織への愛着、自発的貢献意欲、相互成長へのコミットメント | 双方向的、持続的、組織の成果と個人の成長に繋がる |
モチベーション | 行動の動機、目標達成への意欲 | 個人の内発的・外発的要因による、一時的な場合もある |
従業員満足度 | 労働条件や環境等への満足感 | 受動的、必ずしも貢献意欲や生産性向上に直結しない |
顧客エンゲージメント | 企業・ブランドと顧客との信頼関係、愛着 | 対象が顧客、企業と顧客の継続的な関係構築を目指す |
エンゲージメントを高めることで得られる効果
働き方の多様化や人材獲得競争が激化する現代では、従業員エンゲージメントの重要性は増すばかりです。エンゲージメントを高めることで、企業は具体的にどのような恩恵を受けられるのでしょうか。
ここでは、代表的な3つの効果を詳しく見ていきましょう。
生産性・主体性の向上
エンゲージメントの高い社員は、仕事に誇りと責任感を持ち、自発的に質の高い仕事を追求します。当事者意識が高いことから、積極的なアイデアの提案や改善案などが生まれやすくなります。
また、心理的安全性の高い職場では新たな挑戦をしやすくなり、イノベーション創出や顧客満足度向上にも繋がります。
離職率の低下
組織への愛着や自身の成長と組織発展を重ねることで帰属意識が高まり、離職防止に繋がります。優秀な人材の定着は、採用コストの削減だけでなく、ノウハウ蓄積や競争力維持にも不可欠です。
エンゲージメントの高い企業は「働きがいのある会社」として認知され、採用力も強化されます。
組織の一体感強化
エンゲージメントの高い組織では、社員が企業理念や共通目標に深く共感しています。その結果、部門を超えた協力体制が生まれ、組織全体の一体感が増します。目標達成に向けた団結力は企業の競争力を高めることにも繋がります。
従業員エンゲージメントを高める主な方法

エンゲージメント向上には、多角的な取り組みが大切です。エンゲージメントを高めるために必要な方法は、以下の3つです。
・組織・制度・環境づくり: 会社の方向性を共有し、公平な仕組み、成長できる環境、働きやすさを整備。
・風通しの良いコミュニケーションと安心感: 話しやすく、意見を言い合え、失敗を恐れず挑戦できる雰囲気作り。
・人材育成・研修: スキルや考え方を磨き、成長実感から貢献意欲を高める。特にコミュニケーションやリーダーシップ研修が有効。
上記のうち、どれかひとつに取り組むだけでも一定の効果がありますが、3方向から改善していくことで、より従業員エンゲージメントが高まりやすくなります。
エンゲージメント研修のプログラム例

エンゲージメント研修には、従業員エンゲージメントを高める目的に特化した研修が効果的です。ここでは代表的な4つのプログラム例を紹介します。
キャリアデザイン:自己理解と目標設計
社員がキャリアを主体的に考え、会社の方向性と個人の目標を重ねることは、エンゲージメントの基盤です。自己の強みや価値観を理解し、従業員がキャリアプランを描けるように支援しましょう。自らキャリアを築き、組織貢献する意識を育み、仕事への意味を見出すことができれば、従業員エンゲージメントの向上にも繋がります。
マネジメント・リーダーシップ:信頼関係の構築
部下のエンゲージメントは、上司の関わり方で大きく左右されます。そのため、管理職やリーダー層が部下の主体性を引き出し、成長を支援するスキルを持っていることも重要です。
マネジメント・リーダーシップ研修では、管理職やリーダー層が、信頼に基づいたコミュニケーションや適切なフィードバックの方法などを学びます。これにより、部下が安心して能力を発揮できる環境を整え、チーム全体のエンゲージメントを高めていきます。
コミュニケーション:相互理解とチーム力向上
コミュニケーションの質は、エンゲージメントに直結します。そのため、従業員エンゲージメント向上には、コミュニケーション研修が必要です。効果的な聴き方、伝え方、相手も自分も大切にする伝え方、相手のためになる前向きなアドバイス等を習得しましょう。
コミュニケーション研修を通して相互理解を深め、誰もが意見を言いやすく協力し合える「心理的安全性」の高い職場風土を醸成できれば、組織全体の従業員エンゲージメントが向上するでしょう。
レジリエンス:ストレス耐性と回復力の強化
困難やストレスにしなやかに対応する力(レジリエンス)は、エンゲージメント維持・向上に不可欠です。レジリエンス研修では、ストレスを成長の糧と捉える考え方や感情コントロール、自己肯定感を高める方法等を学びます。
逆境を乗り越える力と前向きな思考で、仕事への意欲を支え、エンゲージメント低下を防ぎます。
エンゲージメント研修を成功させるポイント

効果的な研修プログラムを選んでも、その実施方法やその後のフォローアップが不十分では、期待する成果は得られません。ここでは、エンゲージメント向上を目的とした研修を成功させるために押さえておくべき重要なポイントを解説します。
現状把握と課題の特定
まずは、エンゲージメントサーベイ(従業員の会社に対する愛着や貢献意欲を測るアンケート調査)などを活用して、自社のエンゲージメントの現状を数値化・可視化しましょう。全社的な傾向だけでなく、部署や階層ごとの課題を明確にすることで、研修のターゲットや内容をより効果的に絞り込むことができます。
組織課題に応じた研修テーマの選定
より効果的な研修を実施するには、現状把握によって特定された組織課題の解決に直結する研修テーマを選定することが重要です。
例えば、コミュニケーション不足が課題であればコミュニケーション研修、管理職の育成が急務であればマネジメント研修といった選定が必要です。また、経営層、管理職、一般社員など、対象者の立場や役割に応じたプログラム設計も求められます。
研修実施後の振り返りと継続的改善
研修は実施して終わりではありません。研修アンケートや効果測定(行動変容、スコア変化等)で満足度や理解度を把握することが重要です。
アンケート結果を元に内容改善やフォローアップを検討しましょう。単発で終わらせず、継続的に取り組んでいくことが大切です。
やらされ感をなくす工夫
従業員が「研修を受けさせられている」と感じてしまうと、その効果は半減してしまいます。研修目的やメリットを事前に説明し、参加意欲を高めることで主体的な学びを促します。また、業務への活かし方を具体的に示し、経営層に対するコミットメントも効果的です。
エンゲージメント向上に取り組む企業の事例
理論や方法は分かっても、実際にどのように取り組めば良いのかイメージが湧きにくいかもしれません。ここでは、エンゲージメント向上に成功している企業の取り組み事例をいくつか紹介します。自社施策のヒントにしてください。
会社名 | 取り組み内容 | 効果 |
スターバックスコーヒージャパン | 従業員を「パートナー」と呼び理念共感に注力。成長支援も実施。 | 従業員・顧客双方に高満足度の店舗の実現。従業員の高い定着率にも繋がる。 |
京王電鉄 | 「定期サーベイで現状把握。結果に基づき失敗許容の風土醸成、研修実施。 | 具体的な改善点発見。コミュニケーション活性化、組織風土が改善。 |
ヤマト運輸 | 頑張りを称賛する「満足ポイント制度」導入。ポイント化し表彰。 | 「褒め合う文化」醸成、モチベーション向上。業務改善効果も。 |
freee | 社内SNSで課題や考えをオープン共有する文化。経営情報も開示。 | 「働きがいのある会社」上位。コミュニケーション活発、心理的安全性向上。 |
これらの企業は、それぞれ独自の方法でエンゲージメント向上に取り組んでいます。従業員一人ひとりを大切にし、その成長を支援する姿勢が共通しています。
研修でエンゲージメントを高めましょう
従業員エンゲージメントは組織の持続的な成長に不可欠であり、その向上には多角的なアプローチが求められます。なかでも、従業員の意識変革やスキルアップを促す研修は、非常に有効な手段の一つと言えるでしょう。
エンゲージメント向上には、まず社員一人ひとりの意識と行動変革が重要です。研修はそのきっかけ作りや知識・スキル習得の場として最適です。自社課題に合った研修を選定・継続的に実施して従業員エンゲージメントの向上を目指しましょう。
MCSCでは、お客様の課題や目指す姿に合わせ、エンゲージメント向上に繋がる多様な研修をご提案します。経験豊富な社員が現状分析から研修設計、実施、効果測定まで一貫したサポートを実施しています。エンゲージメント向上にお悩みなら、ぜひご相談ください。