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ターミナルケアとは?快適な生活を送るために介護者ができること

ターミナルケアとは、終末期に穏やかな最後を迎えるための大切なケアです。通常の介護だけでなく、より繊細なコミュニケーションや、気配りが求められます。本記事では、ターミナルケアの概要と、具体的な介護のポイントなどをわかりやすく解説します。

ターミナルケアとは

ターミナルケアと似た概念として、緩和ケアというものがあります。いずれも、主に病気の回復が難しい方に対して行うものですが、それぞれ目的が異なります。ここでは、ターミナルケアと緩和ケアとの違いや、開始されるタイミングについて詳しく解説します。

ターミナルケアと緩和ケアの違い

ターミナルケアとは、病気や老衰などで死期が近い方に対し、残された時間を自分らしく心穏やかに過ごし、満足して最期を迎えることを目的とするケアの総称です。ターミナルとは「終末期」を意味します。延命のための積極的な治療ではなく、病気の症状による苦痛や不快感を緩和し、生活の質の向上(QOL)を優先させます。

一方の緩和ケアは、がんやエイズ患者らを主な対象とし、苦痛の緩和とQOL向上を目指しますが、病気の診断時から積極的な治療と並行して進められる点がターミナルケアとの大きな違いです。ターミナルケアは、主に終末期に限定され、穏やかな最期に重点を置くケアであり、緩和ケアの一部であると捉えることができます。

ターミナルケアが始まるタイミング

ターミナルケアは、病気や老衰などで回復が見込めない方に対し、延命よりも残された時間を心穏やかに過ごすためのQOL(生活の質)向上を目的としたケアです。
開始時期は明確に定められておらず、本人やご家族の意思を最大限尊重し、医師の治療方針と協議して決定するのが一般的です。この決断は「延命をあきらめる」こととほぼ同義となるため、非常にデリケートな問題でもあります。

病状から余命が予測されるがんなどの病気の場合は、治療効果の有無を考慮してタイミングを決定します。一方、認知症や老衰によって終末期を迎える場合は、寝たきりになり、介助があっても食事が口からできなくなったときが、ターミナルケアを開始する一般的な目安です。厚生労働省では、「医師が回復不能と判断し、患者・家族を含む関係者が死を予測し納得した状態」を終末期と定義しています。

ターミナルケアにおける介護職の役割

ターミナルケアにおいて、介護に携わる方には、身体的、精神的、社会的な3つのケアを行うことが求められます。また、ケアを受ける方にとって良き理解者となり、精神面で支えていくことも重要です。

介護職が担う3つのケア

ターミナルケアにおいて介護職が担う主なケアは、身体的ケア、精神的ケア、社会的ケアの3種類に分けられます。
身体的ケアは、入浴、清拭、排泄、食事などの日常生活上の介助を行い、褥瘡(床ずれ)予防のための体位変換などで身体的な苦痛を軽減します。精神的ケアとは、死への恐怖や不安、社会的な疎外感に寄り添い、傾聴や声掛けを通じて孤独感を和らげる目的で実施するケアです。

また、社会的ケアでは、利用者さんやご家族の経済的負担やストレスを軽減できるよう、専門職(医療ソーシャルワーカーなど)と連携し、家族とのコミュニケーションを通じてサポートします。いずれのケアにおいても、利用者さんやご家族の希望を尊重した思いやりのあるケアが最も大切です。

患者(利用者)さまの理解者になる

ターミナルケアにおいて、介護職は利用者さまの重要な理解者となることを目指しましょう。終末期にある利用者さまは、死に対する恐怖や不安、そして役割の喪失による社会的疎外感といった複雑な思いを抱え、精神面のバランスが崩れやすい状況にあります。

介護職には、死を目前にした心理的な変化を理解した上で、そのさまざまな感情に寄り添う姿勢が求められます。ベッドサイドで傾聴や会話の機会を増やし、孤独感や不安感を取り除くように支援することが重要な役割です。

特に、コミュニケーションが難しい状態であっても、耳は最後まで機能を保つことが多いため、適宜声掛けを行い、無言のケアにならないように注意することが大切です。利用者さまやご家族の希望を尊重し、思いやりのあるケアを通じて、穏やかな最期を支えるための精神的な平穏を確保しましょう。

ターミナルケア介護の方法

ターミナルケアにおける介護では、相手に寄り添うコミュニケーションや日常生活でのストレスケア、医療連携などが重要です。ここでは、ターミナルケア介護の具体的な方法をご紹介します。

傾聴と寄り添いのコミュニケーション

ターミナルケアにでは、利用者さまが精神的な平穏を保ち、満足して最期を迎えるため話をじっくりと聞き、寄り添う姿勢が大切です。終末期の利用者さまは、死への恐怖や不安、また役割の喪失による社会的疎外感など、複雑な思いを抱えており、精神面のバランスが崩れやすい状況にあります。

介護職には、死の受容過程を理解した上で、そのさまざまな感情に寄り添い、心を受け止めたコミュニケーションを心がけることが求められます。私の需要過程とは以下の5段階です。

  • 第1段階「否認と孤立」:診断や死の宣告を否定し、「まさか」と信じられず、周囲から孤立する。
  • 第2段階「怒り」:死が避けられない現実だと認識し始め、「なぜ自分だけが」と他者や状況に対して怒りを感じる。
  • 第3段階「取り引き」:死を逃れるため、神や奇跡に「もし~したら~します」と取り引きを持ちかけようとする。
  • 第4段階「抑うつ」:どんな取り引きも無駄だと悟り、死を目前にして深い悲しみや絶望を感じる。
  • 第5段階「受容」:死を避けられない現実として受け入れ、心に平穏が訪れる。

相手の話をよく聞き、受け入れましょう。あまり相手の意見を否定しないようにすることも重要です。すべての感情を理解することは困難ですが、理解しようと努力する姿勢を持つことで安心感を与えられます。

日常生活でのストレスケア

ターミナルケアにおいては、延命よりもQOL(生活の質)の向上が優先されます。日常生活におけるストレスを軽減することは、心穏やかな最期を迎えるための重要な要素です。

介護職は、着替えや排泄、移動といった日常行為で利用者さんがストレスを感じないよう環境を整える役割を担います。具体的には、全身の清拭(せいしき)で体を清潔に保ち、身だしなみを整えることで、残された日々を明るく過ごすために大切なケアです。

精神的なストレスケアとして、好きな音楽や思い出の品を身近に置き、リラックスできる環境を作り、孤独感を和らげるために家族や友人と過ごす時間を十分に作ることも意識しましょう。

体調管理と医療連携

ターミナルケアでは、利用者さまのバイタル測定や全身状態の変化を細やかに観察し、その情報を正確に記録・報告することが体調管理において重要です。終末期は容態が急変しやすく、体調が変化する時期であるため、利用者さんの細かな変化をいち早く捉え、看護師や医師と密接に連携することが、苦痛を最小限に抑えたケアを実現する上で不可欠です。

医療行為は医療職が行いますが、褥瘡予防のための安楽な姿勢を整える体位変換や、嚥下機能に配慮した食事介助など、生活面のケアを通じて間接的に医療リスクのケアに貢献するのが介護職です。多職種がチームで連携し、利用者さまの最期の希望を尊重したケアを提供しましょう。

まとめ|ターミナルケア介護にもホスピタリティが重要

ターミナルケアの目的は、単なる延命ではなく、利用者さまのQOLを向上させるために身体的ケア、精神的ケア、社会的ケアを実施することです。その根幹となるのは利用者さまの希望や意思を最大限に尊重する思いやりの姿勢です。

特に終末期にある方は、死への恐怖や不安、孤独感を抱えやすく、精神面のバランスが崩れやすい状況にあります。この時期に傾聴や適切な声掛けを通じて不安を取り除き、「一人で死に臨むような孤独を感じさせない」という精神的なサポートが重要です。

ホスピタリティとは、単なる接客やサービスとは異なり、相手の立場や状況を深く理解し、その人にとって最も心地よいと感じられるような心遣いを提供する姿勢や行動のことです。ターミナルケア介護に関わる方は、ホスピタリティについて学ぶことで、よりよいケアを実践できるようになるでしょう。

MCSCでは、医療・介護施設従事者に対してホスピタリティ研修を実施しています。ホスピタリティを取り入れて、より良いケアを実践したい施設は、ぜひ研修の実践をご検討ください。

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