
1on1を実施していても、「何を話せばよいかわからない」「部下から『特にありません』と言われる」と悩む方は少なくありません。
1on1を有意義な時間にするには、話題を用意するだけでなく、部下が安心して話せる関係や進め方を整えることが大切です。
この記事では、1on1で話すことや具体的な質問例、話題が見つからない原因と対処法を解説します。

監修者:岩城成弘(いわしろ あきひろ)
スターバックスコーヒーやウォルト・ディズニー・ジャパンでの豊富な実務経験を活かし、日本全国の企業や教育機関などで、ホスピタリティ研修を開催している。特に、ディズニー流の「おもてなし」を基軸にした、企業のブランド価値を高める研修が人気。実践的かつ成果につながる指導が、多くの企業から高い評価を受けている。
1on1で話すことは目的から考える

1on1で話すことを決めるには、まず実施する目的を理解しておく必要があります。
目的が曖昧なままでは、雑談や業務報告だけで終わり、有意義な対話につながりません。
ここでは1on1ミーティングで話す目的についてわかりやすく解説します。
1on1は部下のための対話の時間
1on1とは、上司と部下が1対1で定期的に行う対話です。
部下が抱えている課題や考えを上司が理解し、成長や目標達成を支援することを目的としています。
そのため、上司が指示を出したり、部下を評価したりすることだけが目的ではありません。
部下が話したいことを起点として、考えを整理できるように支援することが大切です。
業務報告や評価面談との違い
1on1と業務報告、評価面談では、主な目的が異なります。
| 種類 | 主な目的 | 会話の中心 |
|---|---|---|
| 1on1 | 部下の成長支援・相互理解 | 部下 |
| 業務報告 | 進捗確認・課題解決 | 業務 |
| 評価面談 | 評価の説明・目標設定 | 上司・会社 |
1on1で業務について話してはいけないわけではありません。
ただし、進捗や成果の確認だけで終わると、通常の業務報告と変わらなくなります。
業務を入り口にしながら、「本人がどう感じているか」「どのような支援を必要としているか」まで掘り下げましょう。
1on1で話すこと|7つのテーマと質問例

1on1では、大きな悩みや明確なキャリアプランを話す必要はありません。
最近うまくいったことや、少し気になっていることなども立派なテーマです。
1on1で話す際の代表的なテーマと質問例は以下のとおりです。
| テーマ | 質問例 |
| 最近の出来事 | 最近、印象に残ったことはありますか? |
| 心身のコンディション | 今の調子を10点満点で表すと何点ですか? |
| 業務の状況 | 最近、仕事でうまくいったことはありますか? |
| 悩みや障害 | 仕事を進めにくくしていることはありますか? |
| 成長や強み | 最近、できるようになったことはありますか? |
| キャリア | 今後、挑戦してみたい仕事はありますか? |
| チームや会社 | 職場で改善したいことはありますか? |
最近の出来事やコンディション
最近の出来事や体調についての会話は、緊張をほぐすきっかけになります。
「前回の1on1から何か変化はありましたか」「今の忙しさはどのくらいですか」など、答えやすい質問から始めましょう。
ただし、私生活について無理に聞くことは避けなければいけません。
部下が話したくない様子であれば、深く追及しない配慮が必要です。
業務上の成功・悩み・支援
業務について話すときは、課題だけでなく、うまくいったことにも目を向けましょう。
例えば、次のような質問が考えられます。
- うまくいった理由は何だと思いますか?
- 今、一番進めにくい業務は何ですか?
- 仕事の進め方で変えたいことはありますか?
- 私やチームに支援してほしいことはありますか?
悩みを聞いたら、すぐに解決策を提示するのではなく、まず本人の考えを確認します。
上司が答えを与え続けると、部下が自ら考える機会を失ってしまうためです。
成長・キャリア・組織への意見
1on1は、部下の強みや今後の希望を理解する機会にもなります。
- これから伸ばしたいスキルはありますか?
- どのような仕事に挑戦してみたいですか?
- 自分の強みを生かせたと感じた場面はありますか?
- チームをより良くするために変えたいことはありますか?
部下が将来像を明確に描けていない場合は、無理に答えを求める必要はありません。
現在の関心や得意なことを一緒に整理し、キャリアを考えるきっかけをつくりましょう。
1on1では、その日に部下が話したいテーマを一つ選び、丁寧に掘り下げることが大切です。
1on1の基本的な進め方

会話の流れを決めておけば、沈黙を過度に恐れることなく、部下の考えを丁寧に聞けます。
1on1は、次の4つの手順で進めましょう。
1.前回の内容を確認する
まずは、前回話した内容や、その後の変化を確認します。
上司が対応すると約束したことがあれば、進捗や結果を伝えましょう。
相談を聞いたまま放置すると、「話しても何も変わらない」と思われ、信頼を失う原因になります。
2.話したいテーマを選んでもらう
「今日は何でも話してください」と言われても、部下は迷ってしまうことがあります。
「業務上の悩み」「今後の成長」「チームについて」など、いくつかの選択肢を示し、優先して話したいテーマを選んでもらいましょう。
3.質問と傾聴で考えを整理する
部下が話し始めたら、途中で遮らずに聞きます。
事実だけでなく、「そのとき、どう感じましたか」「あなたはどうしたいですか」と問いかけ、気持ちや考えを整理できるよう支援しましょう。
沈黙が生まれても、すぐに別の質問で埋める必要はありません。
考えがまとまるまで待つことも大切です。
4.次の行動と支援を確認する
最後に、次の3点を確認します。
- 部下が次に試すこと
- 上司が支援すること
- 次回の1on1で確認すること
結論を上司が一方的に決めるのではなく、部下自身が納得できる行動を選ぶことが重要です。
1on1で話すことが見つからない原因と対処法

1on1で話すことが見つからない背景には、話題不足だけでなく、目的の不明確さや上司との関係に対する不安が隠れている場合があります。
主な原因と対処法は以下のとおりです。
| 原因 | 対処法 |
| 目的がわからない | 部下の成長を支援する時間だと伝える |
| 「何でも話して」と任される | 話題の選択肢を提示する |
| 評価への影響が怖い | 評価面談との違いを説明する |
| 上司が話しすぎる | 質問後に待ち、回答を遮らない |
| 話しても何も変わらない | 対応状況を伝え、次回に引き継ぐ |
| 普段の関係性が弱い | 日常の挨拶や声かけを増やす |
| 毎回同じ内容になる | 前回からの変化を起点にする |
部下から「特にありません」と言われても、焦って質問を繰り返す必要はありません。
その際には「最近うまくいったことと、少し困ったことなら、どちらを話しやすいですか」と選択肢を示すと、会話を始めやすくなります。
本当に話題がなければ、短時間で終えても問題ありません。
無理に私生活や悩みを聞き出すより、「何かあればいつでも話せる」という安心感を残すことが大切です。
本音と成長につながる1on1の3つのポイント

1on1の質は、質問の数だけで決まるものではありません。
部下の本音や成長につなげるには、相手との向き合い方が重要です。
話しても大丈夫と思える関係をつくる
部下が本音を話すには、「否定されない」「すぐに評価されない」という安心感が必要です。
1on1のときだけ丁寧に接するのではなく、日頃から挨拶や声かけを行い、小さな努力や変化を具体的に認めましょう。
話してくれたことへ感謝を示す姿勢も、信頼関係につながります。
質問をこなすのではなく、相手に関心を持つ
用意した質問を順番に読み上げるだけでは、会話が形式的になってしまいます。
テーマパーク流のホスピタリティでは、一人ひとりをよく見て、その人の状態に合わせた対応を考えることを大切にします。
1on1でも、言葉だけでなく、表情や声の調子、普段との違いに目を向けましょう。
「私はこのように理解しましたが、合っていますか」と確認すれば、上司の思い込みや決めつけも防げます。
相手の意見を主張した会話を実現するにはアサーティブなコミュニケーションを意識することが大切です。
アサーショントレーニングについては、以下の記事で解説しています。気になる方は、一度ご覧ください。
答えを与えすぎず、部下の可能性を引き出す
部下から相談を受けると、上司はすぐに解決策を教えたくなるかもしれません。しかし、それだけでは部下が自ら考える力を育てにくくなります。
「あなたはどうしたいですか」「何からなら始められそうですか」と問いかけ、本人が選択肢を考えられるよう支援しましょう。
1on1ミーティングは、部下を管理する時間ではなく、自ら考えて行動できる人財を育てる時間です。
1on1で避けたい話し方・話題

部下との信頼を損なわないために、以下のような対応は避けましょう。
- 上司が一方的に話す
- すぐに否定、説教、助言をする
- 他の社員と比較する
- 答えにくい私生活の話を強要する
- 1on1で突然評価や叱責を行う
- 毎回、業務の進捗確認だけで終える
- 前回の相談内容や約束を忘れる
- 話した内容を本人に無断で周囲へ伝える
ただし、ハラスメントや安全上の問題など、上司だけでは対応できない相談もあります。「絶対に誰にも話さない」と約束するのではなく、情報共有が必要な場合は、理由や共有先を本人へ説明しましょう。
1on1を部下の可能性を引き出す時間にしよう
1on1では、最近の出来事、業務上の悩み、成長、キャリアなど、さまざまなことを話せます。
大切なのは、質問を数多く用意することではありません。
部下が安心して考えを話し、自分で次の一歩を選べるように支援することです。
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「1on1が業務報告だけで終わる」「管理職によって面談の質に差がある」とお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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