
「お客様の期待を超えよう」。その言葉自体は間違っていません。ただ、現場で働く人に言い続けるだけで、期待を超えるサービスが生まれるでしょうか。
目の前のお客様の小さな変化に気づき、相手に合わせて一歩動くには、まず周囲を見る余裕が必要です。困ったときに仲間へ声をかけられる関係も欠かせません。私は研修の場で、サービスの質を考えるときほど、働く人の状態とチームのつながりを一緒に見てほしいと伝えています。
頑張っている人ほど、見えなくなることがある

次の仕事の準備、問い合わせへの対応、時間内に終えるための段取り。目の前の業務に追われていると、相手の表情や、一緒に働く人の困りごとに目を向ける時間がなくなります。
そこで「もっと気づいて」「もっと主体的に」と言われても、本人だけでは変えられないことがあります。気づかなかった人を責める前に、気づける状態だったのかを確かめたいのです。
余裕は、仕事を減らすことだけでは生まれない

もちろん業務量の見直しは大切です。それに加えて、優先順位がはっきりしているか、困ったときに誰に相談できるか、判断に迷う場面をチームで振り返れているかも確認してみてください。
「自分だけで何とかしなければ」と思っている人は、助けを求めることにも力を使います。声をかけたら誰かが応じてくれる。そんな安心感があると、目の前の相手に向き合う余地が少しずつ生まれます。
管理職と現場で、三つの問いを共有する
- どの場面で手が足りなくなるか。忙しい時間帯だけでなく、判断が重なる場面も挙げてみる。
- 誰が声を上げやすく、誰が抱え込みやすいか。個人を評価するためではなく、相談のしやすさを確かめる。
- よい対応の後に、チームで何を共有しているか。結果だけでなく、仲間の支えや事前の準備にも目を向ける。
この三つに答えを出すことが、サービスの質を考える出発点になります。研修でも「正解の接客」を一方的に覚えるより、自分たちの現場で何ができるかを話す時間が大切だと考えています。
期待を超える前に、仲間を見よう

目を輝かせて働く人には、自分の仕事を大切にする思いがあります。その思いを、無理を重ねる理由にしてはいけません。お客様を見ることと同じくらい、仲間が今どんな状態にあるかを見る。そこから、続けられるサービスが育つと私は思います。
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